平凡の非凡さ

血族の王: 松下幸之助とナショナルの世紀 (新潮文庫)

先日読んだ本の中に「緊急ではないが重要なこと」を実行し続けることがいかに重要かが分かるエピソードがあった。

「平凡の非凡さ」が幸之助の強みであった。事実、孫請け仕事の目のまわるような忙しさの中にあっても、時間を見つけては失敗作のソケットを前に、改良を続ける非凡な集中力を見せている。かりにこの時点で、幸之助がソケット改良への情熱を失っていれば、おそらくは孫請け事業者のまま倒産の憂き目を見ていたはずである。

とりあえず売上が確保できており、それなりの利益が上がっていると、目の前の業務をただこなすだけで十分だと錯覚しがちだ。
しかし、単に目の前の業務を繰り返すだけの会社が発展した例を、私は知らない。
たとえ「目のまわるような忙しさ」にあっても、それだけで満足してはいけないのだ。

変化を嫌い、挑戦には怖気づくのが人間の性質である。
それを理解した上で「緊急ではないが重要なこと」を実行し、将来への準備をし続けることが、会社の生き残る確率を上げるのだと私は考えている。


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